真夏の夜の夢は、森の妖精たちのお話。
シェイクスピアのお話で、妖精がメインという時点で現実離れした感じになりそうな予感がありますね。
魅惑的な浮気草
最初は妖精たちの軽快な踊りから始まります。
その妖精の中に僕が初めて観たABTの海賊にも出演していた加治屋百合子さんもコールド(大勢で踊る人たちのこと)として出演されていました。
そして、主人公の妖精の王であるオーベロンと王妃のタイターニアが登場します。
二人は仲が良くないようで、オーベロンは浮気草を使ってタイターニアの鼻を明かそうとします。
浮気草というのは、その草の汁を瞼にかけると、目覚めた最初に見たものに恋をしてしまうというすごい草。
こんな草があったら、みんな奪い合いになってしまうでしょうね。
その草をオーベロンの部下のパックに命じて取りに行かせます。
このパックの軽やかな動きは、見ていて楽しくなります。
楽しいだけでなく、ジャンプ力がすごく、回転も安定していて、素晴らしいダンサーです。
こういう道化的な人が一人いると舞台にメリハリがついて、とても良いですね。
浮気草を受け取ったオーベロンは、眠るタイターニアに浮気草の汁を瞼にかけます。
その時のオーベロンの踊りは本当に楽しんでいる感じで、王なのに子どもが悪戯するような感じなのがちょっと面白いところです。
ロバと妖精の恋、そして男女の三角関係
ここでようやく普通の人間が登場します。
二組のカップルで、一組はハーミアとライサンダーという仲の良いカップル。
もう一組はヘレナとデメトリアスという、ヘレナが片想いしているカップル。
ハーミアとライサンダーは疲れたのか、森で寝ようとします。
結婚前の二人なので、寄り添って寝るのはダメということで、少し離れた場所で眠ることに。
こんな森の中で眠ることは僕には怖くてできないですし、愛する人を離れた場所に独りにするのも出来ないですね。
続いて森に現れたのは男たちの集団。
その中の一人が何故かロバになってしまいます。
目覚めたタイターニアは、そのロバを見て恋に落ちてしまいます。
二組のカップルのうち、片想いのカップルに浮気草を使って仲を取り持とうと思ったオーベロンですが、パックが間違えて、もう一組の男性に浮気草をつかってしまい、その男性が目覚めて最初に見たのが、もう一組の女性。そうなると、一人の女性をめぐって、三角関係となって、大変な事態になってしまいます。
収集がつかなくなってしまったので、オーベロンが霧を起こして、すべてを元通りにします。
オーベロンとタイターニア、そして二組のカップル、ロバも全て元通り。
最後はオーベロンとタイターニアのパ・ド・ドゥで、二人の仲の良さが伝わってくる踊りでした。
二人のしなやかさ、柔らかさ、なめらかさ、流れるような動き、バランスの良さ、非常に素敵でした。
作品情報
作品名:真夏の夜の夢
出演:アメリカン・バレエ・シアター(ABT)
キャスト
タイターニア:アレッサンドラ・フェリ
オーベロン:イーサン・スティーフェル
パック:エルマン・コルネホ
妖精:加治屋百合子