「基本の立ち方」のところで触れた、重心・足の3点・仙骨を意識することで引き上げをすることが可能です。
今回は、これらだけでは引き上げの感覚が掴みにくいと感じている方に対して、もう1つ意識すると良いポイントをお伝えしようと思います。
骨盤底筋群とは
今回お伝えしたいのは「骨盤底筋群」です。
骨盤底筋群とは、骨盤の底にハンモックのようについている筋肉の総称です。
骨盤底筋群の役割は、内蔵の重みを支えることとお腹を下から圧迫して腹圧を高めるのを補助することです。
骨盤底筋群は腹横筋(腹筋の中で一番深層にあるコルセットのような筋肉)と共同収縮する性質を持っています。
腹横筋は姿勢を安定させる働きがあり、更に腹横筋が働くと、仙骨を介して多裂筋(背骨のすぐ近くにある、背骨を安定させる筋肉)も働きやすくなります。
よって、骨盤底筋群がしっかり働くと、腹横筋や多裂筋といった姿勢を安定させる筋肉たちが働きやすい環境が整うため、バレエの引き上げにおいては一役を担っていると言えるわけです。
仙骨を立てた時に、実は骨盤底筋群も使われています。
何故かというと、骨盤底筋群も仙骨についているからです。
普段の位置から仙骨が立つと、骨盤底筋群の距離も変わる(=収縮する)ので、本来は仙骨を立てただけで骨盤底筋群も収縮するようになっているのが理想です。
逆に、骨盤底筋群が収縮するから仙骨が立つとも言えますがね。
どちらを先に意識しても同じように引き上げに使えるのが一番ですね。
仙骨を立てることと同時に骨盤底筋群も一緒に働くことができるようになるよう、まずは骨盤底筋群を使った時の感覚を養っていきましょう。
水を吸い上げるようなイメージ
骨盤底筋群は恥骨・坐骨(2つ)・尾骨の4つを意識すると使いやすいです。
まず恥骨・坐骨・尾骨をそれぞれ触って意識しやすくしましょう。特に坐骨はよく触っておいてください。
これら4つの骨を点として、点と点を繋げると、上から見てひし形になりますね。
このひし形をどんどん小さくするようにイメージします。体の中心に吸い寄せるような感じです。
女性の場合は、膣で水を吸い上げようとするような感覚、男性の場合はお尻の穴を締める感覚です。(ギュッと力づくで締めるのではなく、こちらも水を吸い上げるようなイメージで)
他のイメージとしては、ハンカチを広げて中心を持ち、中心を上へ持ち上げると4つの端が中心に寄ってくるというのもいいかもしれません。
もし、全然感じられない場合は、とりあえず思いっきり締めてみてもいいでしょう。
そして徐々に楽にできるポイントを探していってください。
必ず、最終的には力づくではない、楽にできるポイントを見つけましょう。
骨盤底筋群を使う感覚が分かってきたら、仙骨を立てた時にも同時に骨盤底筋群が収縮するよう意識して、一緒に使えるようにしていきましょう。
意識する箇所が減った方が、踊りに集中できますからね。感覚が分かるまでは地道にコツコツです。
ちなみに、この骨盤底筋群を使う感覚が分かってくると、「内もも」も使いやすくなってきます。
この事は長くなるのでまた次の機会に。
上へすーっと抜けるようなイメージ
もうひとつ、骨盤底筋群や仙骨を意識していると、どうしても体の下の方へ意識が集中してしまいがちですが、下腹部を始まりとして、そこから上へすーっと抜けるようなイメージも同時に持つようにしてください。
せっかく引き上げようとしてるのに、下に〜下に〜では何か違いますよね(笑)。
まとめ
最後に、引き上げには本当に様々な筋肉が関わっているので、どこに視点を置いて見るかによっても意識するところは変わってきますが、目的はひとつ。「軽やかな踊りを見せるため」。
軽やかな踊りをする・踊りができるということは脚への負担軽減にも繋がりますよね。
ターンアウト(脚の外旋)もしやすくなります。
よって、今回お伝えしたポイントも引き上げをする時に意識するといいところの1つとして捉えて、自分に合うようなら使ってみてください。