つま先の伸ばし方

バレエでは床から足が離れたら、必ずと言っていいほどつま先を伸ばしなさいと言われます。

どうして伸ばさなければいけないのか…。
美しさが必要な芸術だかだとは思いますが、バレエ特有の足の使い方をレッスンで何度も繰り返すうちに、足裏の筋肉が鍛えられて、ある程度は自然と伸びていくということも考えられると思います。(もちろん、最初から美しい甲を持った羨ましい方もいらっしゃいますので、個人差はあります。)

女性のポアントワークにおいては(トゥシューズを履いてポアントで立って行う稽古)、しっかりつま先が伸びていないと、踊りがぎこちなくなったり、体の他の部分に負担がかかったりするので、バレエシューズの時からしっかり訓練しておく必要があります。

ここからは椅子に座った状態、または床に座った(体操座り)状態で行ってみてください。

足の3点を意識して(分からない場合は、足指全てをあげてみる)足のアーチをつくり、足指は遠くへ引っ張るようにイメージします。
次に片足の膝を伸ばして足はフレックス(背屈)にし、この時も空気を3点で押しているかのように、意識がなくならないよう注意します。
そこから足首を底屈しますが、この時は次の2つのことを意識しましょう。

ポイントその1

まず1つ目は底屈させようとする場所です。足首を伸ばそうとする時、どこを意識しますか?

ちょうどトゥシューズのリボンがクロスする、足首が曲がるところでしょうか?
そこではなく、内くるぶしの中心と外くるぶしの少し上を結んだ横のラインを意識して底屈してみてください。

何故くるぶしが出てくるのでしょうか?

それは足の構造にヒントがあります。内外のくるぶしは同じ高さにあると思われている方が多いかと思いますが、実は内くるぶしの方が少し高いのです。

くるぶしというのは、膝下の脛骨(すねの骨)と腓骨脛骨の外側にある骨)の先端にある大きな突起のことを指します。
ここで膝下から足にかけての骨の構造をよく見てみると、脛骨のすぐ下には距骨(足を形成する骨のひとつ)があり、腓骨距骨の側面と接しています。
距骨の上に内くるぶしがあるので、内くるぶしの方が高くなりますし、内くるぶしの中心から外くるぶしの少し上を結んだ線上で、脛骨距骨腓骨が足関節(距腿関節)を形成します。

よって、足首を底屈させる時は、内くるぶしの中心から外くるぶしの少し上を結んだ横のラインを意識することが、1つ目のポイントとなります。

ポイントその2

では、2つ目のポイントを見ていきましょう。 2つ目のポイントは足指を伸ばすこと、伸ばし続けることです。

レッスンにおいて「指を丸めないで」という注意を受ける方もいらっしゃるかもしれませんが、何故丸めてはいけないのでしょうか?

体を正しく使おうとする時には、「働いて欲しい筋肉がバランスよく使えている」ことが重要です。
その為の環境を整えるには「骨格を正しいところへ持っていく」ことが必要です。

今回の場合、「指を伸ばして使う」ことが、つま先を伸ばす為に働いて欲しい筋肉をバランスよく使うもととなります。
働いて欲しい筋肉がバランスよく使われれば、それを積み重ねることで「踊りで使えるつま先」へと変化していくことでしょう。

逆に言えば「指を丸める」ことは「骨格が正しいところにない」=「筋肉がバランスよく働ける環境ではない」ということ。
そのまま使い続けるとアンバランスが広がり、テクニックの向上の妨げとなったり、使い過ぎからくる痛みにつながる場合もあります。

意識するポイント

普段レッスンをしていて、

  • トゥシューズで立つと足首が引ける
  • つま先を伸ばすと、アキレス腱の内側やふくらはぎに痛み(違和感)が出る

このようなことがあれば、指が丸まっているかもしれません。3点で床を押し続けていたら、つま先を伸ばした時も、床についている時と同じように指が伸びるはずなので、最初は難しくても、意識しようとするところから始めましょう。

ちなみに、足首が硬くて色々エクササイズをしてもつま先が伸びにくい場合、上体の引き上げが弱いことも考えられます。これはバレエの時だけでなく、普段の姿勢も影響しますから、いつも正しい姿勢でいたいものですね。

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