ルルヴェとは「持ち上げる」という意味で、とても簡単に言うと、背伸びのことです。
足の裏が床についた状態からかかとを持ち上げて、ドゥミポアントやポアントまで上がります。
ルルヴェが正しくできるようになると、バランスも向上し、それが回転へと繋がっていきます。
では、ルルヴェにおいて気をつけることを見ていきましょう。上がる段階・上がりきった段階・下がる段階の3つにわけて見てみます。
上がる段階
まずポジションから上がる・上がろうとする段階では、かかとが後ろに逃げないように意識します。その為に必要になってくるのがターンアウトです。
くどいですが、準備(プレパラシオン)の段階でターンアウトと上体を引き上げておく事がとても大切です。
ネジを回しながら締めるイメージで、そして小転子を前に持ってくるようにターンアウトをし続けると、かかとが後ろへ逃げません。小転子を前に持ってくることと、足で床を押すことは引き上げに繋がりますね。
そして、この時床を押すのは拇趾球と小趾球の2点に変わります。
このようにして上がっていくのですが、ここで一つ注意点があります。
それは、ターンアウトが180°完璧にできる場合とそうでない場合で、上がり方が異なってくる点です。
ターンアウトが180°の場合は真上に上がろうとすれば良いのですが、そうでない場合は、斜め上に上がろうとする必要が出てきます。
斜め上に上がろうとする事は、上と前の意識が必要なので、真上に上がるより難しくなるのですが、頭をポジションで立っている所から、斜め上に持っていくつもりでやってみてください。
上がりきった段階
次に上がりきった段階についてです。
上がりきった際には、足の2点で床を押し続けますが、特に小指側は床を押しづらくなります。
その場合は、拇趾球と人差し指の下辺りで床を押そうとしてみてください。
なぜなら、上体からの重みをメインで受けるのは脛骨。その先にあるのが親指と人差し指だからです。ルルヴェの際に鎌足にならない事は、実は理にかなっているんですね。
もうひとつ、アキレス腱が張らないようにする事も大切です。
アキレス腱が張るとふくらはぎの筋肉が固くなります。更に、そのまま使い続けるとアキレス腱が痛くなる可能性も出てくるので、アキレス腱が緩んだままドゥミポアントやポアントができる事が理想です。
まず座った状態で「フレックス→ドゥミポアント→ポワント」がアキレス腱を張らずにできるか確かめましょう。
もし難しければ上記を「膝を曲げた状態で行う」それでも出来なければ、足首回しなどで足首をゆるめることから始めます。足首をゆるめるエクササイズは別の記事で詳しくご紹介します。
下がる段階
最後に下がる段階についてです。
下がる時も小転子とかかとを意識してターンアウトを保ち、腿の一番上(股のすぐ下)からファスナーを閉めるようなイメージで下がります。
床へドスッと落ちないように、上と下の引っ張り合いの力でコントロールします。上体は頭をルルヴェした所に置いておくつもりで伸び続け、下肢は足の2点で床を押しましょう。そして最初のポジションと同じ所へ戻ります。
上記の他に、プリエからルルヴェをして下りてくるまでの一連の動きの中で意識してほしいことがあります。
それは、プリエからルルヴェに上がるときは、膝を伸ばしてからかかとが上がること。そしてルルヴェから下がるときは、かかとが着くギリギリの所まで膝を伸ばしておいてプリエへ繋げることです。
これらを滑らかに行うことができれば、例えば白鳥の湖などの32回転など、連続してプリエとルルヴェを行うものの脚の強さを養うことができます。
まずは、上がる・上がりきった・下がるの3つの段階を正しく行えるように意識して、慣れてきたら膝の事も意識に加えて練習してみてください。