ターンアウトについて

今回は永遠のテーマな方も多いであろう「ターンアウト」について見ていこうと思います。

ターンアウトの事をアンドゥオールと呼ぶ場合もあると思いますが、アンドゥオールは「外側に」という意味で、回転の向きや脚を動かす方向を示す時などにも使われます。
今回は、股関節から脚を回して使う「外旋」について見ていきたいので、「ターンアウト」と呼ぶことにします。

先程出てきたように、ターンアウトは「股関節から脚を回して使う」ことが重要です。
スタジオなどでも「足先だけで開かないように」や「膝とつま先が同じ方向を向くように」と言われることでしょう。
間違いなく、怪我をしないよう安全に踊るために、それらは必須です。

また、ターンアウトは股関節から生じて足先もそれにしたがって開き、踊っている間中、自分のターンアウトを保っていられる筋力が必要です。
股関節から脚が開けて、ターンアウトを保っていられる筋力があれば、たとえ床が滑りやすかったとしても、シューズに松ヤニをたくさんつけて滑らないようにして、無理やり足を開かなくてもよくなりますね。(ちなみにこれは危険です)

ターンアウトするには

では、自分の力でターンアウトが出来るようになるためにはどうしたら良いでしょうか?

つま先の伸ばし方の所で触れましたが、体を正しく使おうとする時には「働いて欲しい筋肉がバランスよく使えている」ことが重要で、その為の環境を整えるには「骨格を正しいところへ持っていく」ことが必要です。
今回のターンアウトにそれを当てはめていくとどうなるでしょうか。

ターンアウトの時に働いて欲しい筋肉は

の2つです。もちろん、これら2つがメインで働いて欲しい筋肉で、この他にも外旋を補助するために働いてくれる筋肉はたくさんあります。
深層外旋六筋は、お尻の奥で外旋のために働いてくれる6つの筋肉のことです。(そのままですが…)
大腰筋は前にも出てきましたね。

基本の立ち方が大切

そして、これらの筋肉がバランス良く使えるようにする為に、次は骨格を正しいところへ持っていきます。

上記の筋肉が働きやすい骨格の位置…と言われると難しく感じますが、これは「基本の立ち方」です。

骨盤が前や後ろに倒れないように、仙骨を立てる。
そうすると、骨盤のプレースメント(配置:あってほしい所に置く)が整います。
仙骨を立てると、大腰筋は働きやすくなり、体の引き上げや股関節の安定につながります。

深層外旋六筋も骨盤のプレースメントが整うと働きやすいので、いかに基本の立ち方が大切かということですね。
更に、くるぶしー骨盤ー肩ー耳が横から見て一直線(上記の正しい状態の写真)になっている重心の取り方は、体に無駄な力が入らないので、いざ動こうとする時の妨げになるものが減らせます。

そして、足の3点で床を押して、ちょうど紐の両端を持ってそれぞれを引き離すように、上体と脚とを引き離しておきましょう。
これにより、股関節が動かしやすくなります。

脚の外旋には小転子を意識

こうしてみると、ターンアウトの時に働いて欲しい筋肉がバランスよく使える骨格の正しい位置は、体の引き上げが十分になされた状態だと言えますね。体の引き上げができたら、次は脚を外旋させます。

脚を外旋させる時は、大腿骨の小転子を意識して、小転子を体の前面へ持っていくつもりでやってみてください。
小転子とは、大腿骨の大転子のちょうど反対側にある小さな突起で、そこには大腰筋と腸骨筋(2つ合わせて腸腰筋)がついています。
小転子に大腰筋がついているので、小転子を体の前面に持っていこうとすると大腰筋の外旋作用が発揮されます。
更に、小転子が意識できると、片足で立った時(タンジュなどをした時)の軸の意識を高めることができます。

では、どうやったら小転子が意識できるでしょうか?

それは、自分で触ることです。

前にも書きましたね(笑)でも、やはり意識するには触る事が一番です!
小転子を触るのは少し難しいですが、足をパラレルにして立った状態で、坐骨を探し、坐骨から脚の内側へ3,4センチ程つたった所を、脚の外側の方へ向かって押します。(結構強めにやらないと分からないです)
そうすると指に突起が当たる感触があり、それが小転子です。

もし、よくわからなければ大体の所で構いませんが、体の側面にある大転子の反対側に小転子があるので、それをイメージしながら探してみてください。

もうひとつ、脚を外旋する時に意識してほしいことがあります。それは、床を押しながら回すことです。
ちょうど、ネジを押しながら回して締めるのと似ています。

先程の小転子の所でも少し触れましたが、床を押しながら回すことも、片足で立った時の安定につながります。
片足で立った時に安定していれば、動かす足は動きやすくなるので、床を押しながら脚を回すことを忘れずに、そして小転子を前に持ってくることを意識しながら外旋してください。

みぞおちをゆるめる

最後に、みぞおちのゆるみについてです。何故みぞおち?だと思いますが、みぞおちの位置には、横隔膜があります。
この横隔膜、実は大腰筋とついている所が重なっているので、みぞおちを硬めてしまうと=横隔膜が硬まる=大腰筋が働きにくくなる…となってしまいます。

せっかく仙骨を立てて…と使いやすくしたのに、みぞおちが硬いことで使いにくくなるのは残念ですね。

まとめ

長くなってしまったので、まとめましょう。

ターンアウトをする時は

  • 深層外旋六筋と大腰筋が働きやすいように仙骨を立てて骨盤のプレースメントを整える
  • 足の3点で床を押して引き上げを十分にする
  • 小転子と床を押しながら回すことを意識して脚を外旋させる→小転子は事前に触って意識しやすくしておく
  • みぞおちが緩んだままできるようにする
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