【必須知識】お腹を使うと引き上げるの違いを理解してますか?

バレエ・ラボの田中紀行です。

バレエレッスンで良く聞かれる言葉のひとつで、「お腹を使う」ということを言われますが、実際にどういう事でしょうか。多くの場合、バレエの先生に「お腹を使いなさい」と言われると、お腹を締めるように使ってしまい、その結果、表層の腹筋が強く収縮してしまい、お腹が縮むようになってしまいます。
本来は、お腹が伸びるように姿勢を取りたいにも関わらず、意に反してお腹が縮んでしまい、身体が伸びやかに使えないという事が散見されます。

お腹が縮むということは、使われている筋肉を考えると、表層にある腹直筋が考えられます。
表層の腹直筋は体幹屈筋としての役割が強く、意識的に使いやすいのですが、安定や姿勢コントロールと言う点では意味合いが異なります。

では、安定や姿勢コントロールを可能にする筋肉とはどのようなものなのでしょうか。
長時間の姿勢維持に働きやすい筋線維の特徴は、遅筋線維と呼ばれる小さい力を長く発揮できる線維になります。この遅筋線維が多く含まれている筋肉は、身体の深層に位置する筋肉になります。つまり、体幹部分で言うと、腸腰筋腹横筋多裂筋と言った筋肉になります。

【右:表層の腹直筋 左:深層の腸腰筋】

これらのことから、バレエの先生が「お腹を使いなさい」という事は、深層にある腸腰筋腹横筋多裂筋等を使って姿勢を整え、お腹を引き上げるように使う事を意味します。

深層筋を使うポイントは、足部からの押す力になります。特に踵の意識がとても重要になります。

【重心線と床を押す力の合線】

図は、踝線上にある重心の重力ベクトルに対し、ダンサーが日常的に床を押す母趾球、小指球、踵の3点の抗力ベクトルになります。3点でしっかり床を捉えて押すことで、抗力ベクトルが発生し、それがお腹の引き上げの基礎となります。

ここで意識すべきポイントがあります。
踝線上にある重心の重力ベクトルに対する前方の母趾球と後方の踵の距離の違いです。
図からも分かるように前方のアームに比較して、後方の踵側のアームが短いことがわかります。
つまり、踝線上にある重心の重力ベクトルに対して正しい抗力ベクトルを働かせるには、アームの短い後方の 踵を押す意識が必要となります。
踵でしっかりと床を押すことにより、大腿後面のハムストリングス上部の収縮が促しやすくなります。

ハムストリングス上部に拮抗して働く筋肉は腸腰筋であり、踵を押し、ハムストリングス上部の収縮が入る事で、体幹深層の腸腰筋の遠心性収縮が起こります。
腸腰筋が収縮する事で、腰椎の安定化と共にお腹を引き上げる作用が起こります。
このとき腹横筋多裂筋等も協調して働き、体幹も安定した状態となります。

まとめると、バレエレッスンの際に、お腹を引き上げるということは、しっかりと踵で床を押して、大腿後面のハムストリングス上部に収縮を発生させることです。
反対に母趾球側での意識が強いと大腿前面の大腿四頭筋に収縮が入り易く、膝の過伸展、腰椎の前弯が増強するので膝痛や股関節痛、腰痛等に注意が必要です。

具体的なトレーニング方法は、「正しく床をとらえて引き上げるための身体の使い方」の動画をご覧ください。
正しいトレーニングで引き上がった身体のスタイルを作りましょう!

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