バレエ・ラボの田中紀行です。
ダンサーにとって、甲を出すと言うのはとても大切な事ですが、その意味をご存知ですか?
1つ目は、パフォーマンス時のつま先の伸び、つまり見た目の美しさです。
2つ目は、重心の軸を取り易いようにするためです。
1つ目は皆様ご承知の通りでしょうが、2つ目の「重心の軸を取り易い?」とはどういう事でしょうか。
人間には立位時に理想的な重心線があります。
通常立っている場合は、重心は足首の内くるぶし下で、いわゆる脛骨の真下になり、骨で立つ感覚になります。
骨で立つ感覚とは、身体の表面に位置するアウターマッスルの働きが最小限の状態です。つまり、筋活動が少なく、限りなくリラックスした状態となります。
バレエや他の運動でも同じですが、立ち姿勢(構え)がリラックスしていないと、動きの際は、必要以上に緊張してしまい、身体が上手く動かせません。
ルルべが高い事やポワントで甲がしっかりでることは、骨で立つ感覚、つまりリラクッスして立つために重要となるのです。
足部のケア
では、皆さんはリラックスして立つために、甲の可動域を出すため、どのような足部のケアをしていますか?
バレエ・ラボがお薦めするケアのポイントは3つあります。
①足部の事を良く知りましょう。
足部は26個もの骨から構成されています。
- 近位列:距骨(きょこつ)、踵骨(しょうこつ)
- 中心骨:舟状骨(しゅうじょうこつ)
- 遠位列:内側楔状骨(けつじょうこつ)、中間楔状骨、外側楔状骨、立方骨(りっぽうこつ)
- 中足骨:中足骨(ちゅうそくこつ)(5)
- 基節骨:基節骨(きせつこつ)(5)
- 中節骨:中節骨(ちゅうせつこつ)(4)
- 末節骨:末節骨(まっせつこつ)(5)
26個も骨があるということは、それだけ細かく関節があるということです。
その中でも特に甲を出すために重要な関節があります。
①中足趾節関節:屈曲・伸展
②リスフラン関節:屈曲・伸展(可動性は少ない)
③ショパール関節:屈曲・伸展・回内・回外
上記の3つの関節をケアすることは、ダンサーにとって必要不可欠です。解剖図と共に覚えてください。
②足部にある脂肪体を柔らかい状態にマッサージしましょう。
【部位】
- 距骨前脂肪体
- 距骨下脂肪体
- ケーラー脂肪体(アキレス腱、長母趾屈筋、踵骨上縁に囲まれた部分)
【脂肪体の特徴】
- 脂肪体とは関節の動きに合わせて緩衝役や滑りをサポートする
- 脂肪体には痛みの受容器があり、過負荷により痛みを感じる(例:歩く量が急激に増えた時等)
- 周辺の怪我などで肥厚や固くなる⇒足首の可動性が落ちる
③1回の時間は短くとも、継続的にセルフケアをすること。
タイトルにもあるように、ケアの時間は1回を長くするより、複数回に分けた方が効果的です。短時間のケアを毎日習慣的にできるように工夫してください。
まとめ
足部のセルフケアを知る事により、美しさ、バランス、身体への負担の軽減になり、ケガの予防にも繋がります。確実な知識をつけて、レッスンの時間とケアの時間をうまくコントロールし、効率的な生活を送ってください。