バットマン・フォンデュは「溶ける」という意味で、軸脚ドゥミ・プリエ、動脚シュル・ル・ク・ドゥ・ピエの状態から、両脚の膝を伸ばしながら、動脚を前・横・後のいずれかの方向へ出す動きのことをいいます。
動脚の角度は45°,90°で行う事ができます。
チーズフォンデュを食べたことがあると思いますが、チーズがとろ〜っととろけるあのイメージがフォンデュです。ということは、溶けるように柔らかく動く必要があり、コントロールを必要とする動きになります。
更にバットマン・フォンデュは、片脚プリエの入ったパの基礎訓練になります。
ジャンプから片脚で着地するものも含まれます。
全幕公演での最も華やかな場面になる、グラン・パ・ド・ドゥのコーダで、32回転するグラン・フェッテ・アントゥールナンが出来るようになる軸脚の強さを作るのに、フォンデュは有効です。
(パ・ド・ドゥとは、女性と男性が組んで踊ることを指し、グラン・パ・ド・ドゥはアダジオ・男性ソロ・女性ソロ・コーダからなる。主役級のダンサーが踊る)
フォンデュで意識するポイント
では、フォンデュで意識することを見ていきましょう。
まず最初の注意は、5番ポジションから動脚をシュル・ル・クドゥ・ピエ、軸脚をプリエにする時です。
このクドゥピエにする際は、動脚の足裏と足指で床をなめるような・足で床を掘り起こすようなつもりで使いましょう。
こうすると、膝下があたかも「軸脚の方」にいくような感じになりますが、これは動脚の膝が上へ持ち上がらないようにするためです。
動脚の膝が上へ持ち上がってしまうと、動脚の付け根と膝の張り合いがなくなってしまいます。
ふたつ目は、両脚の膝は同時に伸ばし、同時に曲げることです。
特に伸ばす時に軸脚が先に伸びてしまいやすいですが、動脚の動きに合わせられるだけのコントロールができるようになることは、脚の強さを養うことにつながります。
ただ正しくプリエができてこそなので、プリエの仕方が分かっていない場合は、まずプリエから見直しましょう。
プリエが正しくできていれば、恐らく3つ目のこの注意はいらないのかもしれませんが、軸脚のプリエで軸脚に乗っかった状態はダメです。これは引き上げだったり、骨盤が傾いてしまったりする事により起こります。
体は上下の運動のみ。骨盤が前後左右に傾かないように気をつけます。
その為にも骨盤底筋・仙骨を立てる・みぞおちが張らないようにすることが大切です。
最後の注意は、動脚は出す時戻す時どちらも小さなアティテュードを通ることです。(アティテュードを通って戻すのは、クドゥピエに戻す時です。5番ポジョンに戻す時は、動脚の膝は伸びたまま戻ります。)
クドゥピエからアティテュードを通る時(出す時)に、動脚・軸脚のターンアウトを最大にし、ターンアウトを保ったまま膝を伸ばしていきましょう。この時小転子を意識すると、特にドゥバンとデリエールでは両脚が離れにくなり、動脚が外へはみ出にくくなります。
フォンデュからアティテュードを通る時は(クドゥピエに戻す時)、動脚のつま先(足指)で、足の先にある物を引き寄せてくるイメージでアティテュードになりましょう。
フォンデュは片脚で支える事に加え、軸脚にプリエの動きが加わるので難しくなります。フォンデュがうまく出来ないと思ったら、プリエ、タンデュ、デガジェなどの基本的な部分を見直してみてくださいね。